簡易な小説1−7

少女は寝入っていた、今までのどの瞬間よりも深く深く寝入っていた。
そら豆のスープを食べた久々の満足感と歩き続けた疲れが押し寄せて、波のように少女を包んだからだ。
ハコはすっかり寝てしまった少女を見て、体を冷やしてはいけないと思ってどこからか毛布を探し出した。
その毛布を軽くかけてやる。
お腹のあたりが冷えないように出来る限りかけてやった。
毛布かかっても少女は起きなかった。
よほど疲れていたのだろう、まだ本来なら親から離れるような歳ではない少女が小さな体でハコと共にわずかな食べ物を探し歩いていたのだ。
疲れないわけなかった。
ハコはしばらく少女を休ませることにした。
だが、この家の住人がいつ帰ってくるかも分からない。
しかも味方かも敵かもわからない、だから少し警戒しておくことにした。
ハコは自分の体をプルプルと振るわせると人間の親指の先ほどの四角い何かを出した。
パラパラと落ちた四角い何かは小さな足を生やしてなんと歩き始めたではないか。
どうやらハコの子機端末らしい。
さぁ行け、子機達よ、周囲の安全を確保してくるのだ。
ハコがそう命じると子機達はカサカサと動いてあちこちに散っていった。
これで周囲の状況がわかる、それにこの家の住人を見つけてくれるかもしれない。
そう期待して待つことにしよう。
ハコは少女の側に座ると周囲を警戒しながらしばらく待つことにした。
どれくらい待つかわからなかったが、とりあえず少女が疲れを癒して目が覚めるまで待とうと思った。
・・・・。
それから数時間がたった。
ウ~ン。
「あれ私寝てた...ハコが毛布をかけてくれたの」
キュルルとハコは鳴いて答えた。
少女は目覚めるとあたりを見渡して何か変わったことは起きていないか、この家の住人がいないかどうか探した。
住人は少女が見える範囲にはいなかった。
「ハコ、この家、人いるんだよね。それともいないのかな?」
少女の顔が再び不安と寂しさから暗い顔になったのがわかった。
ハコは自ら送り出した子機達と連絡を取っ
た。
何かわかったか、子機達よ。少女が落ち込んでしまった何か朗報はないのか。
こちらナンバー1、ルート探索終了行き止まりまで行きました水の貯水タンクがあるだけで特に敵味方ともにおりません。
こちらナンバー2、ルート探索終了行き止まりまで来ました発電機が動いていますそれ以外特に変わったところはありません敵味方ともにおりません。
子機達は報告を上げる、だがそれは人がいないという報告であった。
こちらナンバー3、生体反応確認、まだ何かわからない。
これより静かに接近する。最優先事項と認定。
データを回線の優先ルート確保を申請。
許可する。
許可確認、データ回線優先ルート確保。
映像を送ります。
ナンバー3が何かを見つけた。
それは生物の反応であって人間の反応か子機達には分からない。
だから送られて来る映像を見て、それが人間か動物かハコが判断する。
送られてきた映像は画質が悪かった。
データ回線が悪いので少し乱れている。
だが、何か動いているは分かる。
ナンバー3、暗視カメラに切り替えよ。
了解、暗視カメラに切り替える。
切り替えるとそこには熊と見間違うほど大きい髭面の男の姿があった。
毛皮を被り、まるで原始人のような格好をしていた。
これは味方か敵か外見で見分けがつくような相手ではなかった。
これは良い熊か悪い熊かなんて人間が外見でつかないようにハコにとってもこの人間が良い人間か悪い人間か全くわからなかった。
さてどうしたものか、この人物に協力を求めて反応をみるか。
それともこの場で少女を連れて静かに立ち去りリスクを回避するか。
敵だった場合は後者が正しい判断だ。
だが、味方だった場合には水と食料が全くない、荒野とも思える寒空の中、少女を再び歩かせることになる。
そして灰色の世界に戻るということだ。
だが、このカメラのから送られてきた映像見るに、平均男性を上回る背の高さ体の大きさだ。
平均男性ぐらいの大きさで腕力もそこそこくらいな男ならハコは自分の力を使って排除できる気がした。
だが、こののグリズリーのように大きい男どうにかできる自信は正直なかった。
さてどうしたもんか少女に映像を見せて判断してもらおう。
私には無理だ。
ハコはそう考え付くとキュルキュルキュルキュルと鳴きながら、少女のスカートの裾を引っ張る。
「な〜に?。ハコ何かあったの」
そうだと言いたげにハコはその四角いボディに搭載された多機能の一つプロジェクターを起動した。
腰から外の部分に中くらいのタブレットぐらいの大きさで映像を映し出した。
「これ人間?」
少女の数少ない人生経験では映像に映し出された男は人間には見えないようだ。
それほど男は大きかった。
味方なら鬼に金棒だろうが敵なら悲惨だ。
少女がどう判断するかそれに全てがかかっていた。
「お髭がすごい人だね」
キュルルとその点だけ同意した。
少女は少し考えた後、口を開いた。
「ねぇハコ、私会ってみるよ。だって会わなくてもしばらくしたらここに来るんでしょ」
キュルルっと同意する。
「だってこの家に住んでる人だもんね。お邪魔してますって言って挨拶した方がいい気がするの」
キュルルルル。ハコは少女がリスクがある方を取った事に一抹の不安を抱いて心なしか元気のない返事になってしまった。
「人間同士って会わないとわからないもんね、それで敵だったら全力で逃げよう」
少女の案は警戒を怠らず接近し味方なら良し敵なら逃げる。ごくごく単純な案だった。
「それじゃあハコ、一緒に行こう」
少女は決意してハコのアームを握るとハコもまぁ仕方ない、もし敵ならば全力で少女守るだけだと決意して静かに少女の手を握り返した。


作者あとがき

今回は少女とハコが知らない人物に会おうと決心したところだ。
少女と言うからには11歳か、その辺の歳だと思うが、それぐらいの背丈の女の子からすれば熊の様に大きい大男など全く恐怖の対象でしかないだろう。
大人で言えば少しスクワットをするような目線でしかないのが少女の背の高さだ。
人間、自分を見下ろす存在には恐怖を覚えるものだ。
その背の高さは手足の長さであり手足の長さはリーチの長さと同義だ。
なので戦いには大きく有利になる。
そういう潜在的な生物的な恐怖が背の高さによって与えられるのだ。
だから少女の決意はなかなかすごいものだろう。
その点が書けているどうかは作者の腕次第だが、書けていれば良いと思う。

あまり長々と作者のあとがきを書いてもなんなのでこの辺で話を締めるそれではまた。



















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